「もうすぐ死ぬから」

在日2世の末期がん患者さんのマッサージに行っていたときの話。

癌を良くするために行くわけではありません。特有の痛み、苦しさ、違和感を軽減するマッサージです。
この技術に確固たる正解、マニュアルはないと思います。
患者さんとコミュニケーションを取りながらドーゼを決めていきます。
施術当初は弱く、やわらかく、優しいタッチが必要です。
あとは患者さんから「強い 弱い」の確認をとりながら、その後の体調の変化のデータを蓄積していきます。
しかしはっきり申し上げて、そこまで繊細なものでもありません。体を触ればなんとなく分かるからです。

さて、タイトルの患者さんの発言。
しょっちゅう口にしていました。
在日ということで「いじめられました?」と率直に尋ねたことがあります。
「いや、そういう人もいるけど、俺の周りはやさしい人ばかりだったな」と言っていました。
しかし天涯孤独。親も兄弟も、妻も子もいないかたでした。
私が訪問した時には馬鹿話ばかりしていました。
酷い偏見や差別的な話も多くされました。(爆笑しながら)
私が「酷いww(当事者に)怒られますよ!w」と言うと 冒頭タイトルの

「いいんだよ。もうすぐ死ぬから(笑)」と。

段々と具合が悪くなり、マッサージの時間もほとんど居眠りをされるようになっていきました。

そんなある時に最初で最後の一言を言われました。

「おぅ。ありがとうな」

「まだあと10分ありますよ」

「いや違うよ!(笑)いままでだよ(笑)」

「また明後日来ますから(笑)」

翌日、訪看さんから電話がかかってきました。

「先ほどお亡くなりになりましたので」

私が行った翌日でしたので、警察から何らかの事情聴取等あるかと思いましたがなにもありませんでした。

最後の最後で「ありがとう」と言っていただけたのは良かった。
私は私の役割を果たせたと自負しております。

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