偶然
今日は14時に豊島区の南長崎で仕事がありました。
その次の16時の仕事がキャンセルになったのでだいぶ空きができました。
14時40分くらいに施術が終わり、いったん家に帰ろうとバイクを走らせました。
信号待ちの途中でなぜか”いつもと違う道で帰りたい”という気持ちから変えられなくなりました。
地図アプリも使わずただただ思うがままバイクを走らせました。
普段ならば絶対に見ることがない景色を危険の及ばない範囲で楽しみながら。
遥か前方に西武池袋線の踏切が見えました。
確実に家に近づいていないと確信しましたが引き返す気持ちにはなりませんでした。
踏切を超えてから大通りを探そうと思ったその瞬間
おばあさんが踏切の途中で動けなくなっているのを目撃しました。
他に車両もなかったのでその場にバイクを停めて、おばあさんまで近づきました。
シルバーカーの車輪が線路に挟まったのかと思ったのですが、菊の花を線路に落として拾えないでいたのです。
すぐに拾って、「ひとまず踏切から出ましょう」と促して歩いてもらいました。
警報が鳴れば抱える覚悟はしていましたが、慌てさせずなんとか渡り切りました。
ごめんなさいね も ありがとう もありませんでした。
私も道のど真ん中にバイクを停めたままで車が近づいていましたので、「じゃあ行きますね」とおばあさんに言うと
「娘が死んだのよ」と。
その菊だったんですね。
状況を見守ってくれていた女性が「そう。大変でしたね。」と。
私はその女性に軽く会釈をしてその場を離れました。
介護者が先立ってしまった場合、行政はスピード感をもって対応出来ているのだろうか。
帰路様々考え事をしながら運転してしまいました。
たった3本の菊を拾わんと踏切の途中で立ち往生したおばあさん。
娘さんに供えようと頑張って買いに出かけたのでしょう。
生きるということはかくも残酷なことか
どうか頑張って生きてください。