この仕事に生涯従事する覚悟を決めた日

それまでは元気な病人をみていました。
ざっくり言えば食事と運動と睡眠を”ちゃんと”していればこんなことにならなかった患者さん達。
ある時、近所に住む指圧の師匠が「勉強になるよ」と高齢者医療の世界に引き込んでくれたのですが、当初は高齢者の皆さんに対し「助けてやるぞ」といった傲慢な考えがありました。
すぐに高齢者のどうにもならない慢性症状に自身の無力さを知り叩きのめされます。
そして夏は灼熱の炎天下に一日中ヘルメットをかぶってバイク移動。高齢者は冷房を嫌うかたも多いのでサウナのような室内。
冬は寒風吹きすさぶ中バイクでの移動は体と精神にダメージが蓄積していきます。
また当時は報告書に厳しい職長で、平均睡眠時間3時間で2年間過ごしました。
血圧は170を超え、いつも走っている道路も別の世界のような景色に見えました。
半分居眠りをしながらバイクを運転し、反対車線にはみ出して後ろを走っていたトラックが派手にクラクションを鳴らしてくれ最悪の事態を回避したこともありました。
そんなどうにもならない半人前以下の私の訪問を楽しみにしてくれ、いつの間にか患者さんに私の方が心配され励まされていることに気が付いた日がありました。まるで自分の子供、孫、友人のように。
覚悟を決めた日はこの日です。

1回1回の訪問に勝負感を持って臨むようになっていきました。
拒否の強い患者さんから拒否をされなくなったのもこの頃からです。
ひとつ意識が変わると自分を取り巻く環境が音を立てて変わるものですね。


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