特別な日

フリーランスになり、今後どうしようか考えていた時に共通の知人から「脳梗塞の後遺症で動けなくなってしまった人がいる」と相談を受け、お会いすることになった患者Mさん。
最初、施術着(白衣)でうかがった時は「(なにしに来たんだ)」とばかり怪訝な顔をされ極めて受け入れが悪かった。
その後徐々に徐々に仲良くなり、お互い会うのが楽しみになっていました。
1年かけてほぼほぼ自力で座るまで回復しましたが、爪を伸ばしていたヘルパーさんの不注意で鼠径部から出血する怪我をされました。「痛むから休ませてほしい」と言われ、当時は回復の具合から少し休んでも大丈夫だろうと根拠なき見立てをし、1か月間休むことになりました。基本的には患者さんの要望に沿うことが大事だと思っていましたので、当時の判断としてはやむを得ませんでした。
1か月後にお会いした時にはもう膝を曲げる事すら難しい状況になっていました。
愕然としました。
様々思いが交錯しましたが、「1か月前までの体に戻すしかない」静かに決意しました。
下肢伸展位での拘縮が有り、わずかに動かしただけでも激痛で顔を歪めます。
「ベッドの足上げ機能で膝の曲げ伸ばしを普段からやって下さいね。何回やってもいいですからね」と、伝えていましたが、まぁやらないんですね。わずかにやったようですが。
ベッドの足上げ機能を使うと痛まないと言っていたのですがね。。

その後、物を噛んで食べなくなっていきました。
食べなくなったら早い。皆知っていることです。
私も何度も何度も見てきました。

エンシュアを「おいしい」と気に入ったのは良かったんですが、それで「もう食べなくて良い」となってしまったのも仕方のない事だったのだと思います。絶妙なタイミングでエンシュアを処方して頂いたドクターには感謝です。遅すぎず早すぎず、今思えばあのタイミングしかなかった。

雑談の中でいろいろと教えてもらいました。
そのかたは若いころはとてつもないイケメンでしたので、そっち系のアドバイスはまるっきり役に立ちませんでした。
ひっきりなしに女性のほうから近づいてくる人から教わった『口説きの指南』など、ブサメンの私が実践したら失笑されるだけですから。
道の覚えかたや、寝たきりになっても勉強をする意欲を失わない事、戦中戦後の話、たくさん勉強させて頂きました。
とてもとてもここでは書けないような事も。

4月14日 10時50分 お昼前にお見舞いに行き、しっかりと握手出来たのがなにより良かった。
     16時7分 「生まれ変わったら友達になってくださいよ。一緒に温泉行って下さい」と次にお会いした時に伝えようと思っていたのですが伝える事が出来ませんでした。眠るように旅立たれたそうです。

携わる機会を頂きありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。
Mさん、じゃあ また(^_^)/~

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