鍼を刺すということ

鍼を刺す行為というものは皮膚を貫いて異物が体の中に入って行くことです。
体の側からみれば”生きるか死ぬかの大事件”または”天変地異”といったような事態が引き起こされています。(はたらく細胞的考察)
・皮膚を塞ごうとする働き ・出血を止めようとする働き ・痛みを抑える働き が優先的に発動されます。
その”災害現場”に 上記の働きを成す物質やホルモンはどうやってやってくるのか?
それは血流に乗ってやってくるのです。(一部は神経線維から分泌されます。)
最優先で行われている反応ですから、いやでも局所的には血行が促進されるわけです。
その局所とは(肩こり等)筋緊張のある部位のことです。(鍼を刺した部位です)
そもそもその部位は血行不良で筋肉に供給する酸素量が乏しく柔軟性を欠き、疲労物質は溜まり、炎症を起こし、さらに血管は狭まり~~といった負の連鎖が発生している場所。
ここに鍼を刺して”負の連鎖を断ち切る” これが肩こり腰痛といった筋緊張にアプローチする鍼治療の「私の(個人的な)」考え方です。

「じゃあ自転車で転んで怪我をしたら体は良くなるのか!?」と先輩鍼灸師に詰められたことがあります。
「(そんなわけないだろ)」と心で思いましたが、その怪我をさせる場所、程度をコントロール出来るのが資格を持った鍼灸師だと思うのです。
鍼を打ったところで出血は基本的にありません。ただ毛細血管を避けることは出来ませんので、微量の(すぐに止まる程度の)出血は有り得ますので、血液がサラサラになる薬を服用していたり、血液の感染症をお持ちのかたは事前に鍼灸師に必ずお伝えください。

体質改善の鍼灸治療はまったく考え方が違います。
どっぷり東洋医学的な視野に立って行われます。
陰陽・五行学説が基本の考え方になります。気血水の働きを整えれば症状は消えていくといった考えです。
・望(診)ぼうしん ・聞(診)ぶんしん ・問(診)もんしん ・切(診)せっしん といった基本的な判断基準を経て鍼灸治療は行われます。
年単位で緩やかに改善するケースもありますし1発で治ったという話も聞きますが、殊更短期で良くなるという宣伝を声高に行っている鍼灸師を軽蔑こそしませんが私は信用しません。

長くなりますので、またいずれ。